湯っこやのみなみさん。

吉原遊女ほのぼの見聞録

椰子で和紙を漉く

友人からまた今度は山武市・蓮沼海浜公園の辺りでココスヤシ(ブラジルヤシ?)という小型のヤシの実が採集できたとのことで、大量にいただきました。

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直径3cmくらいの、甘酸っぱい南国の香りのする実でした。そこそこ美味しいですが、ばくばく進んで食べられるか、というとそうでもありません(そりゃ梨やブドウの味を知ってしまっていますのでね…)。

量は、おおよそ一斗缶2杯分くらいでしょうか…。どうしろというのでしょう…。

ひとまずジャムかペーストにしてカレーに入れたりしたら良いかと考え、圧力鍋で煮てみました。

意外と時間がかかるようで、20〜30分ほど加圧してようやく種と果肉がスムーズに外せるくらいの柔らかさになりました。

種←→果肉

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フードプロセッサーでペースト状にします。
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ペーストを掬ってみると、繊維が思いっきり残っています。ヤシだけに。

「あんなに煮たのに…」

これはもうジャムにしたところでスジスジしてまずそうな予感が拭いきれません。食いしん坊のわたしもすっかり食べる気が失せてしまう代物となってしまいました。

しかし、その微細ないかにもセルロースたっぷりなスジスジ繊維を見て閃いたのです。

「これ、紙になるんじゃね?」

調べてみますと紙(和紙)は大雑把にいうと繊維をバラバラに細かくしたものを薄く平らに結合しなおすことで造られるようです。

さらに調べてみますと牛乳パックなどを使った和紙の作り方情報がたくさんWEB界に出てきますので、それらを参考に必要なものを用意します。

ジョイフルホンダ富里店へ向かい、以下の資材類を購入してきました。

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・木枠(画材売場にあったキャンバス用の枠)

・タッカー、ステープル

・農業用防虫ネット(目合1mm)

・洗濯糊

・アクリル板

 

木枠を鋸で半分にカットし、長方形×2枚にします。

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防虫ネットを木枠の内周に合わせてカットしたものを、張りながらタッカーで留めていきます。
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木枠の小さな網戸のようなものができあがりました。

三毛猫・ニコちゃんのチェックを経て、外の作業場へ。彼女は普段、自宅警備員として従事しています。
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ヤシペーストに洗濯糊を混ぜます。字を書くつもりはなかったので、漂白はせずヤシ色そのままを活かします(完成品の用途は後述)。
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水を入れた容器にヤシペーストを満遍なく混ぜ、網で漉きます。これを機に「手漉き」の意味を初めて理解しました。
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緩やかな水の流れを利用して網の上に薄く伸ばしていくような動作になります。漫画で見たことのある「海苔漉き」というのもおそらく同じ原理なのかなと思いました。

わたくしのセカンドカー、ハイゼットトラックの荷台のアオリを降ろしますと、ちょうどいい作業台になります。
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漉いたものを板に乗せて乾かします。

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ダメ元でしたが、乾くとちゃんと固まっていました。

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薄いものは引っ張ると裂けてしまいましたが
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厚めの方は引っ張っても大丈夫です。
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ペーパーカッターでトリミングします。
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ザラっとした、少しレザーに似たような風合いがあります(パイナップル由来のヴィーガンレザーなどがあるのを彷彿)。ワイルドな雰囲気の和紙ですが、かすかにフルーティーな香りがします。
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良い感じだったので増産しました。
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できあがった紙で、紙袋と封筒、ぽち袋を作りました。

※紙袋はこちらのサイトの手順に倣いました。

把手はダイ◯ーの紙ひもです。

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これはひょっとすると真のエコバッグといえるかもしれません。

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強度的には小さなお菓子やお茶、化粧品、アクセサリーなどを入れて使えそうです。
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糊付けの際、指で強くミッと押えると細かな棘が刺さってしまいましたが…、普通に使う分にはほぼ問題無いかと思われます。

ちょっと遅れて夏の工作(?)の模様をお送りしました。

現場からは以上です。